オートバイ米大陸横断日誌 第4回

砂漠から大峡谷グランドキャニオンへ

[オートバイ米大陸横断日誌 第4回 経路概観図]

23日、快晴。コロラド州トリニダードを出発し、ロッキー山系の南端を眺めながら、北西に弧を描くハイウェイ・オブ・レジェンズをたどる。石垣を持った家々、急カーブの続く緑豊かな峠、エメラルドブルーの湖と、景色は絶えず変化し、道のリズムも変わってゆく。

24日、早朝に雷雨、のち晴れ。ニューメキシコ州アロヨ・セコの宿に荷物を置き、タオス・プエブロを訪ねる。粘土作りの村に、今も1,500人のタオス・インディアンが暮らす。聞けば祭礼を数日後に控えているらしく、村人の一部はすでに山の向こうの湖へ巡礼の旅に出たという。

25日、久々の休養。

翌26日、コロラド南西部へ向かう。小雨の降り出した中、山道でガス欠。燃費の良いもう一台のバイクからガスを移し、下り坂はエンジンを切って走る。青空の戻ったチャマの町でようやく給油、再びコロラドに入る。

写真: モニュメントバレーへの一本道を行くバイク
荒野の先、地平線にモニュメント・バレーの巨大な岩台が見えて来る

27日、コロラドの山間を西へ。デュランゴの町の先、雲行きが怪しい。シールドに雨滴が付き始めて間もなく、車線も分からないくらいの土砂降りになる。メサ・ヴェルデ国立公園を眺めやることもできないまま通過し、コルテスの町で宿をとる。

28日、晴天。ユタに入り、砂漠と岩山の景色が始まる。進むにつれ、岩肌は枇杷のような色から赤レンガ色となり、やがて薄茶色のモニュメント・バレーが見えてくる。荒野をさらに200キロ、道沿いに緑が戻ってくる頃、夕暮れのグランド・キャニオンに至る。

休息の29日、何万年という時間が刻んだ谷の上空を、一羽のアメリカ・コンドルが旋回している。


※この日誌は2007年9月8日付の週刊NY生活紙面および同紙デジタル版に掲載されたものです。


付録

8月27日 通信
写真: 駐車場、二台のバイクと白い雲
パゴサ・スプリングスにて

コロラドからニューメキシコに入り、タオス近くのアロヨ・セコで2日の休息をとりました。26日にコロラドへ戻り、27日夜現在、メサ・ヴェルデ国立公園そばのコルテスという町に居ます。26日は雨&ガス欠、27日は土砂降りにやられ、あまり進んでいません。

写真は昨日の晩に宿をとったパゴサ・スプリングスという温泉街の郵便局にて。不用品を日本へ送るために立ち寄りました。この後めちゃくちゃ雨に降られました。景色とか全然見られなかった。

8月28日 通信
写真: 青空の下、岩山を背景に並ぶ二台のバイク
モニュメント・バレーで補給

コルテスからユタに入りモニュメントバレーを通過、そのままアリゾナ入りしてグランドキャニオンに。写真はモニュメントバレーで2ストロークオイルの補充をしているところです。景色を見ていて道路わきの溝にはまってしまった車がいたようで、救助のクルーが来ていました。

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