Mestizaje (miscegenation)
Poetry Society of AmericaのウェブサイトにWhat's American About American Poetry? というコーナーがある。この問いに対し、現代アメリカの詩人たちがそれぞれ独特の視点からアメリカ詩のアメリカ性を語るというもの。学校のワークショップにてSuzanne GardinierのNew World(『新世界』)を扱うことになったので参考に読んでみたのだが、彼女のWhat's American About American Poetryは鋭くて、熱い。一部即訳して紹介したい。
ヨーロッパ人が初めにやってきた時からずっと、この土地には二種類の風が吹いている。一つはMestizajeと呼ばれ、もう一つはMoneyという名で知られるものだ。(中略)Mestizajeの方角から吹く風からは、夕暮の街角から立ち昇るいくつもの国の夕餉の煙、あるいは一日の仕事が終わったあとで、床に残された衣類の山、そんな匂いがする。その風の音は、長い会合、尽きせぬ議論を思わせる。
メキシコの詩人オクタビオ・パスがアメリカという国を描写してみせた「過去ではなく、未踏の未来の上に建てられた国」という言葉を思い出す。ホイットマンのアメリカは今も生き残ってるな、と感じる。世界はアメリカのものではないが、アメリカは世界のもの。Gardinierが引いた「我らの国アメリカを達成し、世界の歴史を変える」というジェームス・ボールドウィンの言葉は、アメリカ人だけのためのものではない。